(後編です)
前回のあらすじとしては、21才年上サーファーの元彼(トムさん)が、
突如として下半身不随になって入院していたはずなのに、
いつの間にか病院を飛び出しハワイまで行って
19才も年下の彼女と挙式してきたよ!というお話でした。
こうやってざっくり書き出すと、まるでドラマの中の世界のようですが、
これ全てノンフィクションです。
未練のない元彼であっても先に結婚されるとチクっとして気づきがあるわけです。
幸せな結婚をしたいとお考えの妙齢女子は必見。
前編はこちら↓
元カレの結婚を聞いて、モヤらない元カノなんてこの世にいるの?
というわけでトムさんのお見舞いの帰り道、
嬉しいはずなのに、心の底から祝っているのに、何が不満なんだい?私!?と、考えてみました。
まず思ったのは、あのハワイでの満面の笑みを浮かべたトムさんの隣にいたのは、
何かの歯車が一つ違えば私だったかもしれないという事。
じゃあ、どうして今トムさんの隣で純白のドレスを着て笑っているのは私では無いのだろう?
(重ねて言うがトムさんに未練は無い。単純な疑問。)
実は私、8年ほど前にトムさんと結婚しようとしていました。
21才の年の差を乗り越えて、結婚に踏み切ろうと覚悟を決め、両親にトムさんの話をしました。
それまでお付き合いしている男性がいることすら伝えていなかったから、
いきなり「結婚したい相手がいる」と言った時、両親はまぁ驚いていましたよ。
で、蓋を開けてみたら、その娘の彼氏が21才年上(当時トムさん48才私27才)のバツイチと言うでは無いですか。
まぁそこそこ普通の感覚の両親であれば戸惑いますわな。
ちなみにうちの両親は、戸惑うを通り越して「絶対にうちには連れてくるな」のひと言でした。
けど私からしたら、21才年上なことなんて、
付き合い始めた3年前からわかっていたわけで、
両親も反対するだろうから隠していたわけで…。
なのでそこまでの驚きもなく、
「仕方ない。時間をかけて氷を溶かすか…」くらいの気持ちだったんですよね。
なんだけど、その話をトムさんにした時、
当時の私からすると想定の範囲外のセリフが返ってきたんです。
「21才も年下だし、ご両親の気持ちもわかる。俺…責任取れるかなぁ…。」と。
はあぁ!?年の差なんて生まれた時から決まってんべ!?
20代後半の、女として一番いい時期を奪っておいて今更なに言っとんじゃ!?
私はすごーくがっかりして、そんなブチ切れっぷりだったと思います。
そして、そんなんだったらこの先だって色々ハードルはあるだろうに、弱気な男となんて一緒にいられないわ!とばかりに別れました。
それに対して今の花嫁さん。
失礼ながら比較のため条件で話をさせていただきますと、トムさんよりも19才年下。
私の時と大差なし。
当時よりも彼氏彼女共に歳を取ったと言う点においては、
子供のことやら老後のことやら、私よりも条件が悪くなっているかもしれない。
それに加えてトムさんは下半身不随になり、
もともと結婚したいと考えていた彼女に対し
「もう還暦間近だし、こんな身体だし、責任取れない。あなたは若いんだし、結婚はしない。」と伝えたそうです。
あれ?なんかデジャヴ。
トムさん、若い子好きなくせにいざ結婚となると年齢でひるむ癖がおありなようで。
ただ、ここで違ったのが、トムさんではなく我ら彼女側の反応ですよ。
責任を取れないと言う言葉に対し私は「そんな頼りない男嫌じゃ」となった。
対してお嫁さんは「知ったこっちゃない。結婚すんぞ」と、なりました。この違いは……なに?
これ完全に、受け取り方と自分の在り方の違いだと思うんですよね。
私の場合は、トムさんが身の保身に走ったと思いました。
そして今ならわかりますが、トムさんに対して依存的だったのだと思います。
こんなに若い子嫁にもらうんだからちゃんと責任とってよね!と言う期待がありました。
対してお嫁さんは、トムさんの言葉を優しさと受け取ったのだと思います。
まだ未来があるのだから、こんなおじさんじゃなくてもっといい人と幸せになって欲しいよと。
そして、そんなトムさんの気持ちも汲み取った上で、
年の差も障害もどーでもいいから一緒にいたいという意志を示したわけです。
まぁ、そもそも若い子と付き合うんだから
そこらへん織り込み済みで先のことくらい考えとけよ…
という厳しいツッコミもあるとは思いますが、
トムさんは天然記念物級の素直で優しく流されやすい性格(褒めてるよ)なので、
そこはまぁ置いといて。
私たちが未来を選択する時、相手から拒否されているならいざ知らず、
そうではないのであれば『私はこうしたいです!』という意志表示をしていくことが、
主体的な人生の選択になり、幸せに繋がるわけです。
そういう意味で、不安はあれど、相手がチキン野郎であれど(すまん)2年も引きずるんだったら
と私も言えば良かったんですよ。
けど、当時の私にはそれが出来なかった。
トムさんを責めたけど、自分もやっぱり年の差が怖かったんだと思います。
つまり、チキン野郎なのはお互い様。
そんな過去があったからこそ、あのハワイの空の下、弾けるような笑顔を見せる同年代の花嫁が、キラキラ最強に見えました。
めっちゃくちゃカッコ良かった。
眩しすぎて、自分の後ろの影の濃さを突きつけられた感じですね。
8年たった今なら、同じように何か不安があった時、それでも好きな人に好きだとまっすぐ向かっていけるかな?そう在りたいな。
そう思わせてくれた花嫁さんにも感謝して、私のこのモヤモヤを文章という形で葬り去りたいと思います。