そのせいなのか?クライアントさんから
「テリコさんみたいに手に職がないので何もできません…」的なことをよく言われます。
けど、手に職ってなに?それってそんなに効果あんの?
と、言われるたびに思うこと、ちょっと一緒に考えて欲しいです。
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手に職があるってどういう状態のことだろう?
「手に職があれば…」って、耳タコすぎて何だか私には呪いの呪文のように聞こえます。笑
実際、手に職ってみんな何のことを言ってるんでしょうか?
確かに、昭和の時代は親世代からよく言われたものです。 「手に職をつけなさい」って。
それについて、私の大好きな「そもそも論」から考えてみようと思います。
そもそも【手に職】って何だ?
具体的に考えてみる よくよく考えたら、手に職ってとても曖昧な言葉ですよね。 なのでまずはググってみました。「手に職 とは」
職業または職能を自分のものとすること。 生計を立てるための仕事、あるいは、仕事に就くための技能や資格を、獲得すること。 … 単に就職と同じ意味で用いられる場合もあれば、就職して生計を立てていくこと、といった意味で用いられる場合もある。
https://www.weblio.jp/content/%E6%89%8B%E3%81%AB%E8%81%B7%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%91%E3%82%8B
なるほど。
この定義に基づくと、手に職は3種類に分けられるっぽいです。
- 何かの技術を身につけること
- 仕事のための資格や技能を身につけること
- 就職して生計を立てること
ん?書き出してみるとかなり範囲が広いことがわかりますね。
勝手に何かできるようになった人も「手に職」だし、
公的な資格を取った人も「手に職」だし、
就職して生計を立てるために働ける人も「手に職」。
この時点で既に、働く女性は全員「手に職」がある。ということになります。
けれど私に対して「手に職がある人はいいな」的なことを言う人は、それじゃあ納得しないことはわかっているので次行きましょう。
じゃあ逆に「事務職」は手に職が無いのか?
事務職という具体例を出して申し訳ないのですが、往々にして事務職という謎の職種に自分を入れ込もうとする人たちから「いいな」発言をよく聞くので、 代表例として挙げさせていただきますね。
これもそもそも論でして、事務職って何ですか?
誇りを持って働けないでいる事務職の皆さんは「事務職」という言葉にどんな意味をくっつけているのでしょうか? 例えばですけどこんな感じ?
- 誰でもできる
- 専門性がない
- 給料が低い
- 地味
- ずっと座ってる
- 女性が多い
これ、わざとですけどよく聞くネガティブイメージを挙げています。
ちなみに私個人的には、メールの返信やスケジュール管理などのいわゆる事務仕事は壊滅的にできませんので、事務職の人に技術がないとは1ミリも思いません。
ウィキペディアさん曰く事務職とは、主に机上で職務を行う職業の俗称。だそうです。
それで言ったら、デザイナーだって事務職です。
事務職属性で嘆いている皆さん、そうやって自分のことを低く位置付けようとするのはなぜですか?
あなたの仕事に専門性は本当にないんですか?
だとしたら明日からバイトの子があなたの席に座ってすぐに代わりができるんですか?
少々挑発的に論破させていただければと思います。笑
手に職がある認定されやすいデザイナーの場合は実際どうなのか?
何となく言いたいことはわかります。稀少性がありそうですよね。デザイナーって。
才能や個性溢れる人じゃないとなれないキラキラした職業っぽいですし、何よりデザイナーって職種はカタカナですからね!かっこ良さげですよ!
一見アホっぽいですけど、このカタカナ職種は羨ましがられるという法則は意外とリアルに存在します。
デザイナー、コンサルタント、インテリアコーディネーター、 ファッションアドバイザー、カラーリスト……ほら、キラキラしてそう。
じゃあ、販売員、塾講師、総務、経理、事務、看護師……は?
ただの字面の話ですよね。
手に職神話に踊らされるのも、この字面に踊らされるのと同じくらいくだらないって私は思います。
実はデザイナーって明日から誰でも名乗れるお手軽肩書きです
知ってましたか?デザイナーって資格ないんですよ。
カラーコーディネーター検定とかありますけどね、そんなもの技術と何ら関係ありません。
つまり、明日からいきなりあなたもデザイナーを名乗ることは可能なんです。経歴詐称にもなりません。
実際、私は学校を卒業して、新卒として会社に入ったその瞬間からデザイナーでしたが、あの当時の私が何をできたって…何もできませんでしたね。
デザインの専門学校も美大も出ていないデザイナーさんなんてこの世にゴマンといます。
逆に、専門的な勉強をしたかもしれないけれど、能力のないデザイナーもゴマンといます。
デザイナーにおける「手に職」って何でしょうか? 素晴らしい技術を身につけていたとして、それって誰が認めてくれるのでしょうか?
デザイナーの能力があれば誰でも稼げるの?就職が楽?
私は美大のデザイン科を卒業しています。ひとクラス30人くらいだったでしょうか?それが5クラスあったので150人くらいはいたはずです。
みんな同じ授業を受けました。全員ベースの技術は学んだはずです。
成績の良し悪しはあったにせよ、みんなデザインを志していたはずです。
卒業して15年近く経ちました。その150人の中でデザイナーとして働けている人は一体何人いるでしょう?
これは正確な数字ではないですが、1割にも満たないと思います。というか、そもそも就職の際にデザイナーになれなかった人がほとんどでした。
そしてデザイン業界というのはどこも相当にブラックです。私も残業200時間、連勤60日だったこともあります。
そのため、せっかくデザイナーになっても10年続けられる人はほとんどいないんです。
本当に勿体無いデザイナーさん達を数多く見てきたよね…。
稀少価値な職種であれば職に困らないわけではない
例えば、看護師さんは全国的に人数が足りていません。その上国家資格を取らないとなれないので、かなりの希少価値です。
けれどデザイナーは、需要が少ないのに対して希望者の数がめちゃくちゃ多いです。
しかも資格がいらないとなれば、激戦中の激戦区な職種なわけです。そしてブラック企業が横行していて給料は死ぬほど安い。
ぶっちゃけますと、私会社員卒業間際の手取り、たったの23万円でした。
10年以上のデザイナーキャリアがあって、チーフデザイナーの肩書きも持ってて33歳でそれですよ?
安易な「手に職があるから〜」発言がどれだけ愚かなことか、もう気づきましたよね?(笑)
じゃあ看護師になればいいんだ!って、そうかもしれませんけど、そこに至るまでの志し、時間、費用、努力、経験……あなたにありますか?って話です。
○○さえあれば…という幻想に逃げ込むのはもうやめよう
ここまで読み進めていただければ、手に職さえ発言が無意味だということはもう痛いほどわかったからやめて!って感じだと思います。だけどそこに輪をかけますね。
最後にもう一度考えてみてください。
手に職さえあれば…が無意味なのはわかった、じゃあ、他に足りないものは?
○○さえあれば(できれば)と思う裏には、こんな心理が隠れているかもしれません。
「手に職」だけじゃない。羨むことで失われていくあなたのエネルギー。
お金さえあれば…あの講座に申し込めるのに。
パートナーさえいれば…会社を辞められるのに。
才能さえあれば…本当にやりたいことに悩まないで済むのに。
誰もが認める美貌さえあれば…もっと楽に生きられるのに。
○○さえあれば(できれば)と思うとき、人は自分に期待をしています。それが無いから出来ないだけで、あれば私だってできるはずなのに…という期待です。
こんな時、まずはゴールを思い出してほしい。
私たちは何のために○○が欲しいんだっけ?と。
もし、自由に行きたかったり、幸せに生きたいというのがゴールだった場合、何か1つの条件が揃えば自由とか幸せって、ありえないことに気づきます。
しかもこの思考って、今手中にない幻想ばかりを追い求めているのわかりますか?
他人の何かを羨んだ瞬間、自分の何かが劣っているという前提に立ったことになります。 無限にエネルギーを消費するその思考は何も生み出しません。
100歩譲ってデザイナーが特別だとする。で?あなたは明日からどう生きるの?
手に職があるということ自体ではなくて、例えばあなたが私の「デザインという好きな仕事を見つけた」という事実が羨ましいと思っていたとしましょう。
確かに、そこについては私は恵まれていると思っています。少し特別なのかもしれません。
けれど、それと稼げるかどうかは別問題。
道を見つけて、稼げるところまで四苦八苦して走ったから今があるんです。
その走ってきた距離を安易に羨むのはちょっと違うということに気づきましょう。
かといって、あなたが今まで走ってこなかったとは私は思いません。
きっといろんな辛い思いも苦しい思いも乗り越えてきたんだと思います。
だけど、今いる場所がちょっと思ったのと違うんですよね?
走ってきた方向が、望んだものとギャップがあるんですよね?
だとしたら、今からやることは一択です。
今からでも、望む方向を探して、その方向に走り出すこと。
もう遅いということは絶対にありませんよ!
輝きを失う原因になっちゃうからね!