家庭でも会社でも友人関係でも、いつまでも止まらないイライラが原因で関係が悪化してしまったなんてことは誰にでも経験があるはず。
特に日本では怒りの感情が一概に悪者扱いされがちですが、
本来であれば怒りはより良い未来に向かうために活用できる、大切な感情の一つです。
自分が怒りを感じた時、他人から怒りの感情をぶつけられた時、
それぞれどんなコミュニケーションをとっていけば健全な関係が保たれるのでしょうか?
Contents
まず、闇雲にイライラを止めようとするのをやめる
これは怒りに限った話ではありませんが、心の機能として、何か一つの感情を押さえつけると、その他の感情も全て感じにくくなってしまうという性質があります。
つまり、本当は怒りを抱えているにも関わらず、
怒ることは人間関係悪化につながるからと強制的に押さえつけていると、
嬉しいことや楽しいことすらも感じられず、無気力な状態になってしまうのです。
いつもやる気が出ない、自分が何をしたいかわからない…という方は、まず全ての自分の感情を否定することをやめましょう。
しっかりと感情を扱えるようになると、今まで押さえつけるために使っていたエネルギー消費を、
そのままやりたいことへのエネルギー消費に変えられるので、
雪だるま式に人生が思い通りの方向へ転がりだします。
ちなみに、怒りの感情を否定しないことと、怒りの感情を表に出すことは別の話です。
イライラしてもいい。怒っていてもいい。
けれど、それをどう解消していくか、方法は様々ある。ということは理解しておきましょう。
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止まらないほどの怒りの原因を考える・知る
次に、なぜ自分はそこまで怒っているのか?また、怒られた場合は、相手はなぜ怒っているのか?原因について考えてみましょう。
怒りの主な原因は3つあると言われています。
1.自分の中の当たり前を無視される
人間は誰しも「普通は○○だろう」という前提を持って生きています。
けれど、世界中の人が誰しも当たり前だと思う前提というのは実は存在しません。
つまりその前提というのは、極端に言ってしまえば、育った環境や経験から
「普通は大体○○だろう」と後付け的に考えるようになっただけの思い込みに過ぎないのです。
ちなみにこの思い込みのことを【スコトーマ(心理的盲点)】と言います。
そしてこのスコトーマは100人いたら100通りです。
そのため、「普通は○○だろう」「○○するべき」「絶対○○だ」などの
スコトーマが多ければ多いほど、自分の中では当たり前であることを無視された!
と感じる予定外の出来事も増えてゆき、怒る頻度も増えるということになります。
2.自分の大切にしている価値観を否定される(されたと感じる)
例えば、仕事においては妥協しないことを価値と感じている人が、
同僚に「適当にさっさと終わらせよう!」と言われたら、気持ちよくはないはずです。
それと同じく、家庭で最も大切なのは相手を思いやる事だと感じている人が、
家族から「自分のやりたいことを最優先させよう!」と言われても
実践に移すことは難しいかもしれません。
けれど、どちらの価値観が正しいかというと、そこは人それぞれなので正解はありません。
つまり、この価値観というものもスコトーマと同じく、100人いたら100通りな訳です。
同じ日本に生まれ育ち、同じ環境で働いていたりすると、
うっかり「普通」があるように感じてしまいますが、
みんな似たような「普通」を持っていても、実は人それぞれ微妙にズレがあるんだと理解する事が大切です。
3.不健全な状況にいる
不健全な状況というと、様々な状態が考えられますが、主に影響してくるのは体調です。
人間も動物ですから、連日寝不足であったり、お腹が空いていたり、風邪をひいていたりすればどうしても感情のコントロールは難しくなります。
また、メンタル的にも普段からストレスフルな環境に身を置いていれば、ちょっとした刺激に反応しやすくなるのは当然です。
自分が怒ってしまった時、相手に怒られてしまった時、怒りの原因は意外と単純なことだったりするんです。
今までは止められなかった怒りやイライラをコミュニケーションに変える方法
上記のことを踏まえた上で、怒りを押さえ込んだり、消そうとすることは不健全だとするならば、じゃあこのイライラをどうやってコミュニケーションに変えていこうか?というのが大切です。
1.自分のイライラが止まらない場合
自分がイライラしている場合、まずその原因は前述の3つのうちのどこに当てはまるのかを考えます。
考えた上で、それでも相手に自分の怒りを伝えたいと思う場合、伝えることでどんな結果を望んでいるのか【決着点】を先に決めましょう。
自分がどうしたいのかもわからずに、ただ感情を相手にぶつけることは、相手を傷つけ戸惑わせる結果になります。
怒りを生産的に使うためには、その怒りの決着点をまずは自分が決めておくことが大切です。
またその時に、必ず意識してほしいことがあります。
それは、相手を自分の都合でコントロールしようとしていないかどうか?という点。
例えば、価値観を押し付けていないかどうか?スコトーマを強要していないか?などです。
当然ながら、どんな人であってもネガティブな強要が含まれた怒りは、
その内容が正しいかどうかは別として反発心が起きます。
それが、コミュニケーション悪化の原因になるのです。
例えば先ほどの仕事の例。
仕事は全力を出してより良い結果を目指すべきと思うが、パートナーのBさんに「適当にさっさと終わらせよう!」と言われ腹が立った。
「仕事で適当なんてありえない!全力でやるべきだ!」と伝えたところ、険悪な空気になってしまった。
Aさんは仕事に120%の力を注いで完璧を目指したいけれど、Bさんは80%の力で合格点を取りたい場合、Bさんに120%の力を出せ!と強要しても、それはAさんの価値観であり常識なので、Bさんが反発するのは当然です。
かといってAさんがBさんに合わせて80%で我慢する必要もありません。
Aさんの決着点としては、仕事を自分の納得いくところまでやりきること。
出来る限り良い結果を生み出すこと。
そのために伝えるべきは「120%の力を出せ!」ということではなく、
自分には出来るだけ良いものを生み出したいという気持ちがあり、そのためにBさんの協力が必要だ。という事実です。
2.相手が怒りを長引かせている場合
相手が怒っている場合も基本は同じです。
相手がなぜ怒っているのか、まずは原因を考えてみましょう。
その上で、相手が自分をコントロールしようとして怒っている場合、それは相手の勝手な期待にあたるため、従う必要はありません。
ちなみに、よくご相談いただく中であるのが下記のような質問。
この時も、大切なのは相手はどこに決着点をつけようとしているのか?ということ。
そもそも決着点がなく、発散のための怒りであるならば論外ですし、
相手の都合であなたをコントロールしたくて言っている発言であるならば、その人のために自分がなおすことなんてないわけです。
(自分も悪いと思っているなら話は別ですが。)
逆に、相手が本当にあなたのためを思って言ってくれていると感じるのであれば、それは受け入れても良い優しい怒りです。
人からの怒りに敏感で繊細な人は、まず相手の怒りを納めたいがために言いなりになってしまいがちですが、それだと相手の支配欲を満たしてしまうことになり逆効果です。
きっとこの先も、折に触れては自分の価値観やスコトーマを正当化すべく、怒りという手段を使ってくることでしょう。
まとめ
怒りの感情は一概に悪者ではありませんが、インパクトが強いため、どうしても【怒っている】という事実ばかりにフォーカスがいきがちです。
けれど、止まらない怒りの中身にはポジティブなも未来のための怒りとネガティブなコントロールや自分のための怒りがあります。
そして、人間は意外と繊細なもので、きちんとその種類を嗅ぎ分けているわけです。
もしあなたが、何かに怒りを抱え訴えているのに、周りが全然思う通りに動いてくれなかったり、理解してくれない場合、怒りの決着点がネガティブなのかもしれません。
コミュニケーションでもっとも大切なのは、自分のことも相手のことも大切に考えること。
そこさえ忘れずに接することができれば、多少のすれ違いは修正できるものですよ!